国土交通省 偽装一人親方問題に本格取組み

建設業に特化した東京(新宿区)の行政書士事務所オータ事務所 でコンサルタントの一員として、クライアントから寄せられる建設業法や建設業許可に関する相談対応を行っている清水です。

国土交通省は、2020年6月15日(月)に「建設業社会保険推進・処遇改善連絡協議会」、6月25日(木)には「建設業の一人親方問題に関する検討会」開催し、今後の一人親方対策についての方向性が示しました。元請業者も、一人親方に工事を注文する専門工事業者や一人親方を指導する上で、この対策を十分に理解する必要があります。

現状の課題
・2020年10月1日に施行される改正建設業法によって、建設企業の社会保険加入が建設業許可・更新の要件として位置付けられるなど、社会保険加入対策をさらに強化される。
・働き方改革関連法の施行により、真面目に技能者を雇用する建設企業にとっては社会保険や割増賃金、有給休暇等の負担が増えている。
・一方で、法定福利費等の労働関係諸経費の削減を意図して、技能者の個人事業主化(いわゆる一人親方化)が進む懸念がある。
・アンケート調査によると技能者の一人親方化が進んでいる傾向にあり、その中には実態が雇用労働者であるにもかかわらず、偽装請負の一人親方として従事している技能者も一定数存在している。
・偽装一人親方は法定福利費等を適切に支払っていない企業ほど競争上優位となるなど、公正・健全な競争環境を阻害することになる。

これまでの対策
これらの課題に関して国土交通省は2019年度、リーフレット配布等を通して「技能者の属性・適切な働き方に関する確認手法の提示」「適切な働き方により加入する国民年金と厚生年金の受給額等の比較」「建設業退職金共済制度や建設キャリアアップシステムの周知」の訴求を行っています。

今後の対策
さらに2020年度は職種ごとの一人親方の実態把握等を行いつつ、規制逃れを目的とした一人親方化対策、その他一人親方の処遇改善対策等について、「建設業の一人親方問題に関する検討会」において実効性ある施策を検討・推進するとして、年度中の中間取りまとめを目指します。また、この中間報告を踏まえて「社会保険の加入に関する下請け指導ガイドライン」を2021年度中に改訂する予定となっております。

一人親方の働き方チェック
「社会保険の加入に関する下請け指導ガイドライン」が改訂される予定であることから、この対策にも元請企業が一定の役割を担うこととなります。先ずは国土交通省がリーフレットで周知する一人親方の働き方が請負として適切かどうかをチェックするための、判断要素を把握しましょう。

ポイント1(依頼に対する諾否)仕事先意に沿わない仕事を頼まれたら、断る自由はありますか?
A ある B ない

ポイント2(指揮監督)日々の仕事の内容や方法はどのように決めていますか?
A 自分の裁量で判断している B 具体的な指示を受けて働く

ポイント3(拘束性)仕事先から就業時間(始業・終業)を決められていますか?
A 自分で決めている B 決められている

ポイント4(代替性)あなたの都合が悪くなり、頼まれた仕事を代わりの者に行わせる場合はどのようにしていますか?
A 自分の判断で代わりの者を探す B 仕事先が代わりの者を探す

ポイント5(報酬の労務対償性)あなたの報酬(工事代金又は賃金)はどのように決められていますか?
A 工事出来高払い B 一日あたりの単価、働いた時間による

Aは一人親方の働き方、Bは社員(労働者)としての働き方にあたり、数の大小によってどちらかに判断されるわけではありませんが一人親方と工事請負契約を交わしているにもかかわらず、実体はBの働き方をさせてしまっている場合は注意が必要です。

オータ事務所は建設業許可に特化した行政書士事務所として多くの申請件数から培ったノウハウを活かして、建設企業の建設業法令遵守を支援しております。建設業法令遵守サポートサービスにご契約いただいく会員企業から寄せられるご質問等には、ご担当者の方が上司や経営陣に対してより説得力のある説明ができるよう、根拠条文を必ずご紹介するようにしております。いきなり契約には躊躇してしまうという企業には、毎月建設業法のテーマごとに相談会もリーズナブルな価格で実施しておりますので、こちらもご利用をご検討ください。ご来社いただくことなく、テレビ会議システムを活用してご相談に対応することも可能です。

シニアコンサルタント 清水 茜作

行政書士有資格者
2012年 オータ事務所株式会社 入社
入社よりオータ事務所営業部で建設業許可の各種申請、経営事項審査などに携わり、17年は年間約450社の手続きを担当する。培ったノウハウをもとに18年より同社の広報担当としても、建設業者に向けた最新情報の発信を行っている。また、グループの建設産業活性化センターが主催するセミナーでは、コンテンツ制作や講演を通して建設業者のコンプライアンス・経営力向上を積極的に働きかけている。

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