お済みですか?民法改正に向けた工事請負契約書の見直し

建設業に特化した東京(新宿区)の行政書士事務所オータ事務所 でコンサルタントの一員として、クライアントから寄せられる建設業法や建設業許可に関する相談対応を行っている清水です。

2019年12月23日に国土交通省の諮問機関である中央建設業審議会は、民法改正を踏まえた建設工事標準請負契約約款の改正を行い、その実施を勧告しました。2020年4月1日に施行される改正民法は債権法の改正とも呼ばれ、建設業者が交わす工事請負契約書に大きな影響を及ぼします。そこで、当社グループの一般社団法人建設産業活性化センターが主催する建設業コンプライアンスセミナーの1月29日(水)開催分のテーマとして、『民法改正を踏まえた請負契約書への対応』を企画し、講師を担当させていただくこととなりました。

ここでは、当日のセミナーでお伝えする民法改正のポイントとこれを踏まえた工事請負契約において考慮すべき事項をかんたんにご紹介いたします。取上げるテーマは「債権譲渡」です。

譲渡制限特約についての改正
現行民法では、法第466条第1項において債権の自由譲渡性について規定し、第2項において当事者が反対の意思表示をした場合(譲渡制限特約がなされた場合)は債権譲渡は無効としています。ただし、譲受人が善意である場合は債権は移転するとして財産性と取引の安全性との調和を図っていました。現代における債権譲渡の意義はファクタリング等、資金調達手段と捉えることができます。建設業は工事完成後の入金となり工期が長期にわたる場合もあり、資金確保が困難になることも多く、ファクタリングが活用されるケースが見られます。これに対して改正民法では譲渡制限特約は譲渡制限の意思表示と定義され、譲渡制限特約が付されていても債権譲渡の効力は妨げられないとされました。ただし、債権の譲受人が悪意または重過失の場合は、債務者は譲受人への債務の履行を拒むことができ、譲渡人に対して弁済することで譲受人に対抗することができるとしています。

工事請負契約書における留意点
前述した通りファクタリングの活用も多く見受けられる建設業ですが、建設工事については長期間の契約となることなどその特殊性から、次のような点にも留意しなければなりません。
・自転車操業的に受注が可能となり、適正な施工の阻害にならないか?
・請負人が負う債務(工事完成)の履行意欲が確保し続けられるのか?
・設計変更等による代金債権の不確定要素が大きいのではないか?

建設工事標準請負契約約款の改正
そこで、4月1日から適用される民間工事標準請負契約約款の改正内容では債権譲渡には相手方の書面承諾を必要とするかもしくは譲渡制限特約を付す内容を選択できるようにしています。譲渡制限特約を付す内容とした場合も、相手方の承諾を得ることで工事実施の資金調達手段としては債権譲渡を認める内容となっています。ただし、上記のような留意点をふまえて譲渡により得た資金を当該工事の施工以外には使用してはならないとしています。

4月1日以降に現行の契約書面を使用したとしても違法となるわけではありませんが、こうした民法改正への対応がお済みでないという方は、ぜひ民法改正直前対策セミナー『民法改正を踏まえた請負契約書への対応』にご参加ください。また、建設業許可手続きで圧倒的な実績を持つオータ事務所は、手続き等を通して得た建設業法のノウハウを活かして各種相談会を毎月実施しております。相談会に関するお問い合わせも気軽にご連絡ください。

シニアコンサルタント 清水 茜作

行政書士有資格者
2012年 オータ事務所株式会社 入社
入社よりオータ事務所営業部で建設業許可の各種申請、経営事項審査などに携わり、17年は年間約450社の手続きを担当する。培ったノウハウをもとに18年より同社の広報担当としても、建設業者に向けた最新情報の発信を行っている。また、グループの建設産業活性化センターが主催するセミナーでは、コンテンツ制作や講演を通して建設業者のコンプライアンス・経営力向上を積極的に働きかけている。

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