経営業務管理責任者はこう変わる!省令改正案パブコメ開始

建設業に特化した東京(新宿区)の行政書士事務所オータ事務所 でコンサルタントの一員として、クライアントから寄せられる建設業法や建設業許可に関する相談対応を行っている清水です。

国土交通省は2020年5月13日(水)、改正建設業法の施行(2020年10月1日)にともない建設業法施行規則の一部を改正する省令案のパブリックコメント(意見募集)を開始しました。ここでは、最も注目を集める現行法の経営業務の管理責任者の基準に代わる、「建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であること。」(改正建設業法第7条第一号)について、その基準と提出書類を改正案概要の原文ママでご紹介いたします。

改正案概要一部抜粋
経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準及び提出書類について
経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準は①及び②の要件を満たすものとする。

① 適切な経営能力を有すること
適正な経営能力を有するものとして、下記の(イ)又は(ロ)のいずれかの体制を有するものであること。

(イ)常勤役員等のうち一人が下記の(a1)、(a2)又は(a3)のいずれかに該当する者であること。
※常勤役員等:法人の場合は常勤の役員、個人の場合はその者又は支配人をいう。以下同じ。
(a1)建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有する者
(a2)建設業に関し経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として5年以上経営業務を管理した経験を有する者
(a3)建設業に関し経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として6年以上経営業務の管理責任者を補助する業務に従事した経験を有する者

(ロ)常勤役員等のうち一人が下記の(b1)又は(b2)のいずれかに該当する者であって、かつ、当該常勤役員等を直接に補佐する者として、下記の(c1)、(c2)及び(c3)に該当する者をそれぞれ置くものであること。
(b1)建設業の財務管理、労務管理又は業務運営のいずれかの業務に関し、建設業の役員等の経験2年以上を含む5年以上の建設業の役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位における経験を有する者
(b2)建設業の財務管理、労務管理又は業務運営のいずれかの業務に関し、建設業の役員等の経験2年以上を含む5年以上の役員等の経験を有する者
(c1)許可申請等を行う建設業者等において5年以上の財務管理の経験を有する者
(c2)許可申請等を行う建設業者等において5年以上の労務管理の経験を有する者
(c3)許可申請等を行う建設業者等において5年以上の運営業務の経験を有する者
※(c1)(c2)(c3)は一人が複数の経験を兼ねることが可能

② 適切な社会保険に加入していること
健康保険、厚生年金保険及び雇用保険に関し、全ての適用事業所又は適用事業について、適用事業所又は適用事業であることの届出を行った者であること。

※ ①及び②の要件を満たしていることを示す書類として、①に関し、使用人の証明書や会社の組織図等、②に関し、届出の内容を記載した書面や届出を行ったことを示す書類の提出を求めることとする。

※ ①及び②の要件に関し、変更が生じた場合は、一部を除き、変更から二週間以内にその内容について届出をしなければならないこととする。

(イ)は概ね現行法の経営業務の管理責任者の要件を満たす者と考えられます。ただし、その経験について「許可を受けようとする」という条件が削除されているため、経験した建設業の業種区分によって6年以上の経験を求められることはなくなります。

改正ポイントは(ロ)となりますが、これまでの国土交通省の検討案の通り、役員等に次ぐ職制上の地位(検討案では管理職とされていました)や建設業以外の役員経験も認められることとなります。ただし、一部に建設業の役員経験が含まれる必要があり、その経験は建設業の財務管理、労務管理又は業務運営のいずれかの業務に関する必要があるようです。

改正案を読み解く限りで(b1)の内容を例示すると、「建設業の財務、労務、業務運営のいずれかの担当役員2年+建設業の役員1年+建設業の役員等に次ぐ職制上の地位2年」となります。(c1)〜(c3)の補佐する者の経験は(b1)(b2)を置く建設業者等における経験に限定されます。(c1)〜(c3)の者をどのような役職に配置するかも含めて、組織図等によって確認されることになるかと思います。(b1)については、役員経験が5年なくとも建設業の役員等に次ぐ職制上の地位が認められますので、中堅以上の確立された組織運営を行っている建設業者を中心に活用されることが想定されます。尚、本改正案の施行予定は2020年10月1日となります。

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シニアコンサルタント 清水 茜作

行政書士有資格者
2012年 オータ事務所株式会社 入社
入社よりオータ事務所営業部で建設業許可の各種申請、経営事項審査などに携わり、17年は年間約450社の手続きを担当する。培ったノウハウをもとに18年より同社の広報担当としても、建設業者に向けた最新情報の発信を行っている。また、グループの建設産業活性化センターが主催するセミナーでは、コンテンツ制作や講演を通して建設業者のコンプライアンス・経営力向上を積極的に働きかけている。

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