国土交通省 建設業法令遵守ガイドラインを改訂

建設業に特化した東京(新宿区)の行政書士事務所オータ事務所 でコンサルタントの一員として、クライアントから寄せられる建設業法や建設業許可に関する相談対応を行っている清水です。

国土交通省は、中小企業庁による「下請代金の支払手段について」(令和3年3月31日20210322中庁第2号・公取企第25号)において、支払条件の改善を目指した手形サイトの短縮化や割引料等のコストを示すこと等が見直されたことを受けて、2021年7月30日建設業法令遵守ガイドラインの一部改訂を行いました。

元請負人と下請負人間における建設業法令遵守ガイドラインは、建設業の下請取引における取引の流れに沿った形で、見積条件の提示、契約締結といった項目について、留意すべき建設業法上の規定を解説するとともに、建設業法に抵触するおそれのある行為事例を提示するものです。

現在もなお多くの企業により手形等による支払いが行われており、そのサイトが十分には短縮されていないなどの現状を踏まえ、下請代金の支払の更なる適正化を図るため、ガイドラインにおける「支払手段(建設業法第24条の3第2項)」の内容が見直されました。

支払手段の改訂内容
建設業法第24条の3第2項では、「下請代金のうち労務費に相当する部分については、現金で支払うよう適切な配慮をしなければならない。」とされているところ、改訂によって「下請代金の支払はできる限り現金によるものとし、少なくとも下請代金のうち労務費に相当する部分については、現金で支払うよう適切な配慮をすることが必要。また、下請代金を手形で支払う際には、現金化にかかる割引料等のコストや手形サイトに配慮をすることが必要」と、出来る限り現金払い割引料等のコストや手形サイトへの配慮が強調されています。

手形通達の改正内容
さらに、中小企業庁による手形通達の改正内容について法令遵守ガイドラインにおいて明示して、元請負人に対してこれらへの配慮を求めています。その内容は以下の通りです。

①下請代金の支払は、できる限り現金によるものとすること。
②手形等により下請代金を支払う場合には、当該手形等の現金化にかかる割引料等のコストについて、下請事業者の負担とすることのないよう、これを勘案した下請代金の額を親事業者と下請事業者で十分協議して決定すること。当該協議を行う際、親事業者と下請事業者の双方が、手形等の現金化にかかる割引料等のコストについて具体的に検討できるように、親事業者は、支払期日に現金により支払う場合の下請代金の額並びに支払期日に手形等により支払う場合の下請代金の額及び当該手形等の割引料等のコストを示すこと。※
③下請代金の支払に係る手形等のサイトについては、60日以内とすること。
※割引料等のコストについては、実際に下請事業者が近時に割引をした場合の割引料等の実績を聞くなどにより把握する方法が考えられる。

そして、これらの改訂も踏まえて今年度の下請取引等実態調査では手形の期間短縮や電子記録債権(手形の電子化)の導入状況に関する設問が加えられており、今後の国土交通省の指導におけるポイントとなっております。

さて、本日の解説はここまでとしておきます。グループの建設産業活性化センターが主催するセミナーでは、9月3日(金)・9月8日(水)に「基礎から学ぶ!建設業法解説セミナー」を開催致します。私も講師を担当していて、本日のテーマを含めた請負契約や下請代金の支払い等について講義しております。読者の皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

シニアコンサルタント 清水 茜作

行政書士
2012年 オータ事務所株式会社 入社
入社よりオータ事務所営業部で建設業許可の各種申請、経営事項審査などに携わり、17年は年間約450社の手続きを担当する。培ったノウハウをもとに18年より同社の広報担当としても、建設業者に向けた最新情報の発信を行っている。また、グループの建設産業活性化センターが主催するセミナーでは、コンテンツ制作から講演までを一貫して手がけ、建設業者のコンプライアンス・経営力向上を積極的に働きかけている。

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