改正省令公布!経営業務管理責任者の規制合理化の内容は?

建設業に特化した東京(新宿区)の行政書士事務所オータ事務所 でコンサルタントの一員として、クライアントから寄せられる建設業法や建設業許可に関する相談対応を行っている清水です。

2020年8月28日(金)、経営業務管理責任者の規制の合理化のカギである改正省令(建設業法施行規則)が公布されました。意見募集(パブリックコメント)が行われていた省令案とどのような相違があったのか、改正省令の内容を解説します。尚、改正省令の施行は改正建設業法と同じく10月1日となります。

改正省令では改正建設業法第7条第一号に規定される経営業務の管理責任者に代わる新たな基準の内容について、規則第7条で規定されることとなりますので、該当条文をご紹介いたします。

第7条(法第7条第一号の基準)
法第7条第一号の国土交通省令で定める基準は、次のとおりとする。

一 次のいずれかに該当するものであること。
イ 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であること。
(1)建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
(2)建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。 ) として経営業務を管理した経験を有する者
(3)建設業に関し六年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補助する業務に従事した経験を有する者
ロ 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であつて、かつ、財務管理の業務経験(許可を受けている建設業者にあつては当該建設業者、許可を受けようとする建設業を営む者にあつては当該建設業を営む者における五年以上の建設業の業務経験に限る。以下このロにおいて同じ。 ) を有する者、労務管理の業務経験を有する者及び業務運営の業務経験を有する者を当該常勤役員等を直接に補佐する者としてそれぞれ置くものであること。
(1)建設業に関し、二年以上役員等としての経験を有し、かつ、五年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。 )としての経験を有する者
(2)五年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、二年以上役員等としての経験を有する者
ハ 国土交通大臣がイ又はロに掲げるものと同等以上の経営体制を有すると認定したもの。

二 次のいずれにも該当する者であること。
イ 健康保険法(大正十一年法律第七十号)第三条第三項に規定する適用事業所に該当する全ての営業所に関し、健康保険法施行規則(大正十五年内務省令第三十六号)第十九条第一項の規定による届書を提出した者であること。
ロ 厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第六条第一項に規定する適用事業所に該当する全ての営業所に関し、厚生年金保険法施行規則(昭和二十九年厚生省令第三十七号)第十三条第一項の規定による届書を提出した者であること。
ハ 雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第五条第一項に規定する適用事業の事業所に該当する全ての営業所に関し、雇用保険法施行規則(昭和五十年労働省令第三号)第百四十一条第一項の規定による届書を提出した者であること。

これを要約すると建設業の経営業務の管理を適正に行うに足りる一定の経営体制があり、かつ、適切な社会保険に加入していることとなります。規則第7条一号のイに該当する者については、現行の法第7条第一号及び関係告示の内容が緩和された内容と言えます。これまでは、経験した建設業について許可を受けようする建設業かもしくは許可を受けようする建設業以外についてかによって5年もしくは、6年の経験が必要でしたが、いずれの種類の建設業の経験であっても経営業務の管理責任者としての経験、経営業務を執行する権限の委任を受けた者としての経験であれば5年となりました。許可を受けようする建設業以外の経験が認められていなかった経営業務の管理責任者を補助する業務に従事した経験についても、いずれの種類の建設業の経験であっても6年の経験があれば本号イに該当します。

規則第7条一号のロに該当する者については、若干ですが意見募集(パブリックコメント)されていた省令案の表現と異なっています。例えば、同号ロ(2)については省令案では建設業の財務管理、労務管理又は業務運営のいずれかの業務に関し、建設業の役員等の経験二年以上を含む五年以上の役員等の経験を有する者とされていましたが、改正省令では「建設業の財務管理、労務管理又は業務運営のいずれかの業務に関し」という条件が付されていません。(1)については、建設業に関して5年以上の役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理、業務運営の業務担当に限定 )としての経験があり、最低2年は建設業に関しての役員経験がある者と考えられます。

そして、ロ該当のものを常勤役員等として置いた場合は、当該常勤役員等を直接に補佐する者として許可申請等を行う建設業者等において5年以上の財務管理、労務管理、業務運営の業務経験を有する者をそれぞれ置く必要があります。(省令案では一人の者が複数の種類の経験があれば、常勤役員等を補佐する者を兼ねることが可能とされていました。)

尚、ロに該当する者を常勤役員等とする場合に提出する書面に組織図がありますが、この組織図は全社的なものを含み、かつ、常勤役員等を直接に補佐する者の位置付けを明確にするものであることとされています。

いずれにせよ、これまで建設業許可事務ガイドラインでは執行役員としての経営管理経験や、経営業務の管理責任者を補佐した経験の使用については、申請等の前の個別認定を行うようにとされてきましたが、改正省令第7条第一号ロ該当の場合はどのように審査が行われるのか、建設業許可事務ガイドラインの改正が待たれます。

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シニアコンサルタント 清水 茜作

行政書士有資格者
2012年 オータ事務所株式会社 入社
入社よりオータ事務所営業部で建設業許可の各種申請、経営事項審査などに携わり、17年は年間約450社の手続きを担当する。培ったノウハウをもとに18年より同社の広報担当としても、建設業者に向けた最新情報の発信を行っている。また、グループの建設産業活性化センターが主催するセミナーでは、コンテンツ制作や講演を通して建設業者のコンプライアンス・経営力向上を積極的に働きかけている。

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