建設業の許可を取得するためには、建設業法にて、4つの「許可要件」と「欠落要件」に該当しないことが求められます。
今回は、許可要件の一つである「専任技術者」の変更にあたり、生じたトラブルの事例についてご説明致します。
専任技術者は”営業所ごとに専任”が必要
専任技術者は、「営業所ごとに許可を受けようとする建設業に関して、一定の資格または経験を有した者」が「営業所ごとに専任」することが求められます。
「営業所ごとに専任」とは、申請する営業所に「常勤」して、専らその職務に従事する者のことを意味します。
そのため、同一法人で他の営業所の専任技術者や他社で経営管理業責任者等になられている方は、「専任」「常勤」とみなされません。
専任技術者不在の場合は許可取り消し対象に
また、専任技術者は建設業の許可要件ですので、許可を取得した後に専任技術者が不在となった場合は許可の取消しの対象等になります。
具体的に申しますと、専任技術者が11月30日に退職等で不在となった場合、空白を空けることなく、「11月30日または12月1日」には別の方に専任技術者を変更したという旨を提出する必要がございます。
専任技術者関連トラブル事例
上記を踏まえて、今回の事案について紹介します。
お客様より、「1年くらい前に専任技術者Aが退職したので、変更の手続きをしたい。」と連絡をいただき精査したところ、後任者として挙げていただいたBさんが別の会社で経営管理業務責任者だと判明致しました。
上記の条件より、Bさんは、専任技術者として申請することが出来ません。また、Aさんは既に退職済みのため、変更日をずらして申請することもできません。東京都知事許可では、専任技術者が退職により、変更となる場合には「健康保険の資格喪失届」といった書類が求められるためです。
結果的に、こちらの会社様はやむを得ず、廃業届を提出し、許可の再取得をすることになりました。
今回は、専任技術者の変更についてご説明いたしましたが、建設業の許可要件の一つである「経営業務管理責任者」についても同様に途切れることなく設置する必要がございます。
対象の方が退職等のご予定がある、あるいは既に退職してしまった場合には、要件者の選定やお手続きなどに時間やコストがかかってしまいます。
今回の事例では、再取得以外の手立てがありませんでしたが、建設業許可専門の行政書士事務所であるオータ事務所では、お客様の大切な建設業許可の維持や、円滑な申請を行うために予防管理的なサポートを行なっております。
建設業許可の維持管理のリスクヘッジにご興味のあるお客様は是非当社までご相談ください。建設業許可について詳しくはこちらをご覧ください。