国土交通省 4月の経営事項審査改正に向けて告示公布

建設業に特化した東京(新宿区)の行政書士事務所オータ事務所 でコンサルタントの一員として、クライアントから寄せられる建設業法や建設業許可に関する相談対応を行っている清水です。

国土交通省は、2021年3月26日(金)に経営事項審査の審査項目及び基準を改正するために告示を公布しました。4月以降に行政庁ごとに手引き等も改正されると思われますが、先ずは改正の概要を把握して適切に申請できるように備えましょう。

(1)監理技術者補佐に4点加点
技術職員数(Z1)に係る改正として、監理技術者補佐に4点を加点することとします。建設業法の改正によって本来は専任で置かれる監理技術者が2つの現場を兼務するときに、それぞれの現場に置かれる監理技術者補佐の資格要件を満たす者について、この資格要件が「主任技術者+1級技士補」であることから経営事項審査上は、主任技術者相当の者より上位であり、監理技術者相当の者より下位であるとして、4点として評価されることとなります。令和3年度より技術検定の制度が変わり、第一次検定と第二次検定に再編成されます。第一次検定の合格者には技士補の称号が与えられることとなりますが、今後は第一次検定の合格者の管理を適切に行うようにしましょう。

(2)労働福祉の状況に関する改正
法定労災の上乗として任意の補償制度に加入している場合に加点される項目について、現在は保険業法の規定に基づく保険会社及び4団体を限定して認めていましたが、中小企業等協同組合法に基づき共済事業を営む者(中小企業福祉共済協同組合)も認められることとなります。

(3)建設業の経理の状況(W5)に関する改正
企業会計基準が頻繁に変化する中で、継続的な研修の受講等によって最新の会計情報等に関する知識を習得することが重要になってきていることを踏まえ、公認会計士等数の算出にあたって算入できる者にも継続的な研修の受講を求めます。公認会計士及び税理士については、それぞれの所管法で規定される研修受講及び登録が前提となります。登録経理試験に合格した者については、合格した年度の翌年度の開始の日から5年経過していない者及び講習を受講した年度の翌年度の開始の日から5年経過していない者となり、平成28年度以前に登録経理試験に合格した者であっても、令和5年3月末までの間は、引き続き経審上評価対象となる経過措置が設けられています。また、経理処理の適正を確認できる者の要件についても研修の受講が必要となります。

(4)知識・技術・技能の向上(W10)の新設
建設業法の改正によって建設工事に従事する者は、建設工事を適正に実施するために必要な知識及び技術又は技能の向上に努めなければならないこととされています。継続的な教育意欲を促進させていく観点から、建設業者による技術者及び技能者の技術又は技能の向上の取組の状況を評価することとなりました。技術者については、審査基準日以前1年間に所属する技術者が取得したCPD取得単位の平均値によって評価します。技能者については、審査基準日以前3年間に能力評価制度におけるレベル判定でレベルアップ(例えば、レベル1からレベル2)した技能者を評価します。

新設された審査項目(知識及び技術又は技能の向上に関する建設工事に従事する者の取組の状況)の計算式等の詳細については、グループの建設産業活性化センターが主催するセミナーで4月にご紹介する予定です。

シニアコンサルタント 清水 茜作

行政書士
2012年 オータ事務所株式会社 入社
入社よりオータ事務所営業部で建設業許可の各種申請、経営事項審査などに携わり、17年は年間約450社の手続きを担当する。培ったノウハウをもとに18年より同社の広報担当としても、建設業者に向けた最新情報の発信を行っている。また、グループの建設産業活性化センターが主催するセミナーでは、コンテンツ制作から講演までを一貫して手がけ、建設業者のコンプライアンス・経営力向上を積極的に働きかけている。

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