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国土交通省は、新型コロナウイルス感染症対策への対応として工事の一時中止や現場に配置される監理技術者等の取扱いについて通知を行いました。大手企業が一斉にテレワークを実施する等の対応が報道されていますが、建設工事に従事する者は法令を遵守することも求められますのでこうした情報を正しく理解しましょう。
工事又は業務の一時中止措置
国土交通省直轄工事においては工事の一時中止にかかる措置について、次の取組みを実施するとしています。
・発注者は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、受注者の感染拡大防止の意向を尊重し、受注者に対して工事の一時中止や工期の延長の意向を確認する。
・受注者から工事の一時中止や工期の延長の申し出がある場合には、受注者の責めに帰すことができないものとして、契約書に基づき、工事の一時中止や設計図書等の変更を行う。
・一時中止や設計図書等の変更を行った場合においては、必要に応じて請負代金額等の変更又は工期の延長を行うなど、適切に対応する。
・一時中止の期間は、令和2年3月15日までの期間とする。
・工事従事者に新型コロナウイルス感染症への感染が確認された場合には、工事の一時中止や工期の延長、設計図書の変更、請負代金額等の変更に準じた対応をする。この場合、一時中止の期間は、他の従事者への感染の状況等を踏まえ、適切に設定する。
・上記の措置にともない、工期が年度を越える可能性がある場合には、繰越等の手続をとることとする。
学校の臨時休業等に伴う建設業法上の取扱いの明確化について
監理技術者等の「専任」については、「主任技術者又は監理技術者の「専任」の明確化について(平成30年12月3日付け国土建第309号)」により、その取扱い等が明確化されています。今般、新型コロナウイルス感染症対策のため、全国全ての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校について、令和2年3月2日から臨時休業を行うよう要請されたことを受け、臨時休業に伴う育児のため、監理技術者等が短期間工事現場を離れることについては、適切な施工ができる体制を確保するとともに、その体制について、元請の監理技術者等の場合は発注者、下請の主任技術者の場合は元請又は上位の下請の了解を得ていることを前提として、差し支えないという方針が示されました。適切な施工ができる体制が確保されている例としては、必要な資格を有する代理の技術者を配置する、工事の品質確保等に支障の無い範囲内において、連絡を取りうる体制及び必要に応じて現場に戻りうる体制を確保する等の対応が挙げられています。尚、前述の通知では工事現場に専任で置かれる監理技術者等はその職務内容(法第26条の3)から当該工事現場にて業務を行うことが基本としつつ、必ずしも当該工事現場への常駐(現場施工の稼働中、特別の理由がある場合を除き、常時継続的に当該工事現場に滞在していること)を必要とするものではないとされています。
監理技術者等の途中交代について
監理技術者制度運用マニュアルにおいて、監理技術者等の工期途中での交代は、当該工事における入札・契約手続きの公平性の確保を踏まえた上で、慎重かつ必要最小限とする必要があり、これが認められる場合としては、監理技術者等の死亡、傷病、出産、育児、介護または退職等の真にやむを得ない場合等とされているが、新型コロナウイルス感染症対策のための学校臨時休業に伴う育児のため、監理技術者等が職務を継続できない場合や工期及び工事内容に大幅な変更が発生した場合等も真にやむを得ない場合に含むものとするとされました。
恒常的な雇用関係の取扱いについて
監理技術者制度運用マニュアルにおいて、国、地方公共団体等が発注する建設工事で発注者から直接請け負う建設業者の専任の監理技術者等については、所属建設業者から入札の申込のあった日以前に3ヶ月以上の雇用関係にあることが必要とされているが、新型コロナウイルス感染症対策のための学校臨時休業に伴う育児のため、当該建設業者に要件を満たす技術者がいない場合など、緊急の必要その他やむを得ない事情がある場合については、3ヶ月未満の雇用関係であっても差し支えないこととするとされました。
監理技術者講習の新型コロナウイルス感染症対応
発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者が下請契約の請負代金の額が4,000万円(建築一式は6,000万円)以上になる場合に置くこととされている監理技術者は、当該建設工事の期間中のいずれの日においてもその日の前5年以内に行われた講習を受講していなければならないとされています。本規定と基本方針をふまえて5年を超過する者が生じることのないように、2020年3月末までに実施予定の監理技術者講習については、講習の実施がやむを得ないと考えられる特別な事情が存する場合を除き、それ以降に延期又は自宅学習の実施を行うよう監理技術者講習登録講習機関に要請しました。
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