経営事項審査改正に向けて準備すべき内容は?

建設業に特化した東京の行政書士事務所 オータ事務所でコンサルタントの一員として、クライアントから寄せられる建設業法や建設業許可に関する相談対応を行っている清水です。

国土交通省は2019年9月13日(金)に中央建設業審議会の総会を開き、経営事項審査(経審)の改正案について審議を行いこれが了承されました。2020年4月1日より段階的に改正を実施する予定として、総合評定値(P点)にも影響を及ぼす内容ですので、公共工事を直接受注する建設業者の方はあらかじめ把握して対策を立てましょう。改正点は次の3点となる予定です。

① 技術職員数(Z1)の改正
② 知識および技術または技能の向上に関する取り組み状況(W10)の新設
③ 建設業の経理に関する状況(W5)

技術職員数(Z1)の改正
技術力(Z)のうち技術職員数(Z1)の評価について、2019年4月より本格運用が開始された建設キャリアアップシステム(CCUS)にもとづく建設技能者の能力評価制度におけるレベル評価を技術職員の評価対象に加えます。現在、登録基幹技能者に3点、1級技能士に2点を付与しているところ、能力評価基準レベル4の者に3点、レベル3の者に2点を付与します。本改正は2020年4月1日に施行されます。

「能力評価基準とは?」
登録基幹技能者講習実施機関である専門工事業団体が能力評価基準を策定し、国土交通大臣に対して認定を申請します。レベル評価の段階はレベル1から4まで設定され、各レベルの基準設定に用いる項目は、建設キャリアアップシステムに蓄積・登録される就業日数、保有資格、職長・班長としての就業日数等が用いられますが、レベル4は登録基幹技能者、レベル3は技能検定がある職種においては1級技能士または単一等級の技能士とされています。

知識および技術または技能の向上に関する取り組み状況(W10)の新設
2019年9月1日に施行された改正建設業法第25条の27では建設工事従事者の知識および技術・技能の向上を求めており、これを受けて継続的に技術・技能研鑽する技術者と技能者の所属企業に対して、新たに加点措置を講じます。技術者に対しては、建設系CPD協議会、建築CPD運営会議、建築設備士関係団体CPD協議会の加盟団体が発行するCPDの取得にインセンティブを与えます。経営事項審査の審査基準日前の1年間に所属技術者が取得したCPDを合算し、5段階で評点を加点します。技能者に対しては、基準日3年間において能力評価基準でレベルアップした技能者の数を、所属技能者の総数で除した割合に応じて3段階で配点します。尚、レベル4の技能者は所属技能者の総数からは除かれます。 加点は最高10点とする見込みで、雇用する技術者・技能者の比率に応じ、「技術者点」「技能者点」を合算して算出します。技術者・技能者に対する加点は2021年4月1日に施行されます。

建設業の経理に関する状況(W5)
公認会計士等数の点数(W52)において、現行では公認会計士、税理士、建設業計理士の資格保有者、試験合格者の人数に応じて評価を与えていますが、改正案では資格取得や試験合格だけでは評価せず講習受講も加点条件とすることとします。会計基準等についての最新の情報・知識の習得を求め、特に建設業計理士の登録経理講習が現在は任意の制度であることを踏まえ、国土交通省は登録経理講習の積極的な受講促進と、省令に位置付けることを検討しています。2020年度に講習内容を見直し、2021年4月1日の施行を予定しています。

公認会計士等数値 = 公認会計士等の数 × 1 +登録経理試験2級合格者の数 × 0.4
※上記数値を所定のテーブルにあてはめて0、2、4、6、8、10の範囲で評価

これらの改正は、いずれも建設業者の取組みによって加点・維持が見込める内容です。特に社会性(W)に関する改正ではCPD取得の実施計画の検討、また建設業計理士の講習受講状況を確認する等、今すぐ取組みの検討をいただくことをお勧めいたします。経営事項審査(経審)は建設企業の経営にも大きな影響を及ぼすので、書類作成や申請に課題をお持ちの方も多いかと思います。このような方に向けて当社のシニアコンサルタント大森が経営事項審査についての相談会を毎月実施しております。お申込みはお問合せフォームよりお願い致します。

シニアコンサルタント 清水 茜作

行政書士有資格者
2012年 オータ事務所株式会社 入社
入社よりオータ事務所営業部で建設業許可の各種申請、経営事項審査などに携わり、17年は年間約450社の手続きを担当する。培ったノウハウをもとに18年より同社の広報担当としても、建設業者に向けた最新情報の発信を行っている。また、グループの建設産業活性化センターが主催するセミナーでは、コンテンツ制作や講演を通して建設業者のコンプライアンス・経営力向上を積極的に働きかけている。

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