民間工事でも経営事項審査が必要な場合とは?

経営事項審査経審

建設業に特化した東京の行政書士事務所 オータ事務所でコンサルタントの一員として、クライアントから寄せられる建設業法や建設業許可に関する相談対応を行っている清水です。

公共工事を発注者から直接請負う際に必要となる申請が経営事項審査ですが、この経営事項審査が民間工事においても必要となる事例があるのをご存知でしょうか?事例にあたる工事に新規参入を検討されている建設業者の方に参考にしていただければと思います。

例えば、私立保育所が市区町村から補助金の交付を受けて行う施設整備工事は、そもそも一般競争入札に付するなど市区町村が行う契約手続の取扱いに準拠することが求められ、経営事項審査の総合評定値(P点)が求められる場合もあります。

これは地方公共団体が私立保育所等の整備費補助についての要綱を定め、この要綱にて契約手続きについて「補助事業を行うために締結する契約については、一般競争入札に付するなど地方公共団体が行う契約手続の取扱いに準拠しなければならない」等としているためです。また、事業者に対して「補助事業を行うために建設工事の完成を目的として締結する契約において、契約の相手方が当該工事を一括して第三者に請負わせることを承諾してはならない」とする等、公共工事と同様に一括下請負が全面的に禁止されていることもあります。

それでは、東京都23区内の保育所新築工事の入札公告における入札参加者必要資格の一部をご紹介いたします。新規参入にあたってご参考ください。

入札参加者必要資格の例
・建設業法第3条による許可を受けている者
・入札参加者募集の公告の日から入札を実施するまでの期間において、建設業法による営業停止の処分等を受けていない者
・建築一式の総合評定値(P)が〇〇〇点以上であること
・〇〇区の競争入札参加資格を有する者
・東京都入札情報における業種「建築工事」において 〇〇年度の格付等級が〇であること
・過去〇年以内に保育所の建築工事実績を有すること
・当該工事に配置する監理技術者は専任とし、現場代理人は一級の資格を有すること
・当該工事に係る設計業務等の受注者ではなく、また当該受注者と資本若しくは人事面において関連がない者

建設業許可を受けていることはもちろん、経営事項審査の建築一式における総合評定値が一定値以上であること、当該保育所の所在である地方公共団体の競争入札参加資格を有していること等が条件とされていることが多いです。上記はあくまでもある保育所新築工事における入札参加資格者の必要資格の一例ですが、私立保育所が補助金の交付を受けて工事を行う場合はこうした内容が入札参加資格の要件とされることがありますので、参入を検討されている建設業者の方はご参考ください。

さて、今年度に競争入札参加資格の定期受付を予定している地方公共団体等のうち、千葉県等一部の日程が発表されています。情報発信ブログ「建設業許可なんでも相談所」では、随時発注機関と日程を更新しておりますのでご覧ください。申請漏れがないようにリスク管理をしっかり行いましょう。

 

シニアコンサルタント 清水 茜作

行政書士有資格者
2012年 オータ事務所株式会社 入社
入社よりオータ事務所営業部で建設業許可の各種申請、経営事項審査などに携わり、17年は年間約450社の手続きを担当する。培ったノウハウをもとに18年より同社の広報担当としても、建設業者に向けた最新情報の発信を行っている。また、グループの建設産業活性化センターが主催するセミナーでは、コンテンツ制作や講演を通して建設業者のコンプライアンス・経営力向上を積極的に働きかけている。

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