皆さんこんにちは。オータ事務所広報部の清水です。
建設業者に対する法令順守の要請がますます高まる状況下において、法令の改正情報や行政機関が検討する内容をいち早く把握することが非常に重要です。こちらのブログでは、より高いレベルの法令順守を目指す企業さまに向けて、有益な情報を発信しております。
本日は、建設工事における安全衛生経費の支払いについてをお伝えいたします。
国土交通省は8月27日に、第2回目となる「建設工事における安全衛生経費の確保に関する実務者検討会」を開催しました。検討会では、建設職人基本法に基づく基本計画に掲げられている「安全衛生経費については、適切かつ明確な積算がなされ下請負人まで確実に支払われるような実効性のある施策」への検討方針と実態調査の計画案などが示されました。
そもそも安全衛生経費は元請・下請が義務的に負担しなければならない費用であり、建設業法第19条の3(不当に低い請負代金の禁止)に規定する「通常必要と認められる原価」に含まれるものとされています。一方、安全衛生経費の定義付けについては労働安全衛生法令に定められた項目だけでは、安全対策の実施が確保されない場合があります。また、安全衛生経費の定義に少しでも合わない項目は対象外とされてしまうため、安全衛生経費の項目は細かすぎない方が良いという意見も提言されています。
上記のような問題点もふまえて、示された今後の方針は以下の通りです。
○労働安全衛生法令に義務付けられている項目に限定せず、幅広に議論する。
○法に基づく指導等の措置が可能な「労働安全衛生法令に義務づけのある事項」から先行して行う。
○「義務づけのない事項」に拡大するための手法について検討を行う。
○「実行性のある施策」の対象を整理し、施策の方向性について議論を行った上で、具体化の検討を進める。
そして元請・下請間においては、各工事現場において実施する安全衛生対策について、実施項目、負担区分及び必要な金額を元請負人と下請負人で明示的に共有(通知・ガイドライン等による内訳明示の徹底)することで下請契約における安全衛生経費の確保を図ることを検討するとされています。
この検討方針に基づいて安全衛生経費の実態調査も実施されることが決定しました。2018年11月以降に無作為に抽出された建設業許可業者20,000社を対象に実施を予定。安全衛生対策の項目一覧を示し「工事現場で自らの作業に関係し実施されている安全衛生対策」「実施されていないが必要と認識している対策」「実施されている安全衛生対策の費用負担区分」について該当項目をチェックする方式で行われます。尚、この調査をもって法令違反等の証拠とする等、回答者の不利益につながる取り扱いを行わないとされています。
さて、建設業許可において圧倒的な実績を誇る行政書士オータ事務所グループの建設産業活性化センターは9月18日(火)に、今年第二弾となるQ&A形式セミナー『建設業の元請・下請間のルール』を開催いたします。本日お伝えした適正な請負代金の支払いもその内容に含む元請・下請間の適正取引がテーマです。合わせて2020年4月に施行される改正民法が与える工事請負契約書への影響など、元請業者の皆さんに役立つ情報をお伝えいたします。お申込みは建設産業活性化センターのホームページより申込用紙をダウンロードの上、お願いいたします。