こんにちは。オータ事務所 広報部の清水です。
建設業者に対する法令順守の要請がますます高まる状況下において、法令の改正情報や行政機関が検討する内容をいち早く把握することが非常に重要です。こちらのブログでは、より高いレベルの法令順守を目指す企業に向けて、有益な情報を発信しております。
国土交通省は1月16日(水)に中央建設業審議会(諮問機関)の基本問題小委員会を開き、建設業の担い手確保の取組みを強化するために講ずべき措置について、建設業法の改正に向けた検討事項を示しました。技能労働者の高齢化が一層進む建設産業において、担い手確保は待ったなしの課題です。2018年6月の中間とりまとめで提言された事項と、新規検討事項の一部を紹介いたします。
長時間労働の是正
① 適正な工期設定に関する基準の明確化
・中央建設業審議会が「工期に関する基準」を作成し 、実施を勧告します。
② 受注者による工期ダンピングの禁止
・受注者は請負契約を締結するに際して、天候その他やむを得ない事由により工事の施工が困難と見込まれる日数を考慮した上で、工事の準備期間、工事の種別ごとの工事着手の時期および工事完成の時期などの細目を明らかにして建設工事の「工期」を見積り、請負代金のみならず工期も含まれる見積書を交付します。
・工事の施工の日程および時間帯の定めをするときは 、その内容を契約書面に明記します。
③ 不当に短い工期による請負契約の禁止と違反した場合の注文者への勧告制度
・注文者は、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に照らして著しく短い工期による請負契約を締結してはならないこととして、違反した場合の勧告制度を創設します。正当な理由がなく勧告に従わないときは、一定金額に満たない工事を除いてその旨を公表します。また、必要に応じて報告または資料の提出、注文者が建設業者の場合は監督処分も行うこととします。
地域建設業の持続性確保(建設業許可制度の見直し)
① 経営業務管理責任者の配置要件の見直し
・経営層の高齢化が進む地域建設業の持続性確保につなげるため、建設業の許可基準における経営業務管理責任者の要件について建設業にかかる5年以上の経営経験を廃止して、許可を受けようとする建設業にかかる経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして一定の基準に適合していることを求めます。
② 事業承継における建設業許可の事前審査手続きの整備
・あらかじめ許可行政庁の認可等を受けることにより、事業承継の効力の発生日に自動的に権利義務を承継するような制度を検討します。
新規検討事項
① 災害時における建設業者団体の責務
② 個人事業主の事業承継における許可手続きの簡素化
③ 建設工事現場の標識掲示義務緩和
・工事現場での標識掲示を元請業者のみでよいことにするなど、工事現場における下請業者の標識掲示を緩和することを検討する。
④ 下請人による通報に対する保護規定
・元請負人がその義務に違反した場合に、下請負人がその事実を許可行政庁等に知らせたことを理由として、請負金額の減額その他の不利益な取扱いをしてはならない旨の規定を検討します。
さて、行政書士オータ事務所グループの建設産業活性化センターは2019年1月30日(水)『建設業許可の特殊な手続き事例と対策セミナー』を開催いたします。「経営業務管理責任者になるために執行役員経験を利用する」「本社機能が東京から大阪に移転」こうした建設業許可手続きの特殊事例から、どのような手続きでも対応できる応用力を伸ばします。また、今回ブログのテーマである担い手確保の打開策の1つである「改正入管法」を特別講義としてお届けいたします。元請企業の法令順守においても重要な知識ですので、ぜひご参加ください。お申込みは建設産業活性化センターのホームページより申込用紙をダウンロードの上、お願いいたします。