合併・分割・譲渡にともなう建設業許可申請等の注意点

合併・分割・譲渡などの会社編成は圧倒的実績を誇るオータ事務所にご相談を。

合併・分割・譲渡などの会社編成が行われる際に様々な準備を行うことと思いますが、建設業以外の事業が主たる事業である場合、経営者や上層部の方々が建設業許可の状況について配慮していないことがよくあります。

合併・分割・譲渡などの会社編成が行われる場合、会社編成の効力発生日に適切な許可を取得していないと「工事が請負えない!?」というケースが発生することもあります。会社編成後にどのような建設業許可(大臣知事、業種、特定一般)が必要かを事前に確認する必要があります。

また公共工事を行っている企業である場合は、特殊な経営事項審査(特殊経審)が必要であるかを確認しましょう。

ケース1
大臣許可A社(存続会社)と大臣許可B社(消滅会社)の合併の場合

A社の許可状況 B社の許可状況
建築(特定) 建築(特定)
大工(特定) 大工(特定)
電気(一般) 電気(特定)
 電気通信(一般)
 消防施設(一般)

 

上記の許可状況の場合、現在の建設業法では合併によって存続するA社が消滅するB社の許可を自然に承継することはないので、合併の前に業種追加申請を行わないとA社の許可状況となります。
そうすると合併の効力発生日以降にB社で行っていた電気工事業は、一般建設業許可の範囲でしか建設業の営業ができなくなってしまいます。
また、消防施設工事業は許可(業種)が無くなってしまいますので、軽微な建設工事(請負代金税込500万円未満の工事)しか営業することができなくなります。
では、合併の効力発生日から速やかにB社で行っていた建設業の営業を行いたいときはどのようにすれば良いのでしょうか?
ここで必要な申請が業種追加申請です。業種追加申請には、国土交通大臣は標準処理期間が概ね120日間とされています。したがって、合併の効力発生日とこの標準処理期間を考慮して、A社が電気工事業(特定)および消防施設工事業(一般)の業種追加申請を行わなければなりません。
ポイントは標準処理期間です。この業種追加申請を合併の効力発生日以降に行っても許可が通知されるまでは電気工事業は一般建設業許可の範囲まで、消防施設工事業は軽微な建設工事のみしか営業を行うことができません。
次にどのようにA社で業種追加に必要となる専任技術者を確保するかですが、例えばB社の技術者をA社に出向させる等、A社に常勤させることが挙げられます。
また、A社の主たる営業所と従たる営業所の届出ている許可の業種が異なる場合もよくあります。合併の効力発生日以降にB社の建設業の営業を行う場合であって、各営業所がB社が行いたい業種の届出を行っていなかった場合、合併の効力発生日に必要となる専任技術者を置いて営業所の業種追加を事後的に届出る必要があります。

 

ポイント
合併後の営業内容をしっかり整理する!
合併後に必要となる許可の業種、特定か一般か、営業所の届出ている業種は十分か事前にかつ早期に確認し、合併の効力発生日前に許可を受ける、もしくは事後的に営業所の業種追加を届出る。

 

ケース2
吸収会社A社(東京都知事許可)と消滅会社B社(大阪府知事許可)の合併の場合

A社の許可状況 B社の許可状況
建築(特定) 建築(特定)
大工(特定) 大工(特定)
電気(一般) 電気(特定)
消防施設(一般)
電気通信(一般)

ケース1との違いは許可取得行政が異なることです。許可行政が違う法人での合併は、まず本社(主たる営業所)がどちらかということです。特に経営業務の管理責任者や専任技術者の常勤が必要である為、本社所在地を決めることがまず行うべきことかと思います。また、東京及び大阪で営業行為を行う場合、許可替え申請大臣許可を取得する必要があります。

 

ポイント
合併後の本社の確認や営業行為を行う場所の確認をしましょう。
許可要件者の確認資料も含めて確認すると良いでしょう。

 

経営者の方々へ
合併を行う場合、相手方の資産状況等の確認から合併後のシミュレーションを行うかと思います。その時に、建設業での許可取得状況が適切でない場合、合併によるメリットの算出ができないことがあります。計画段階から早期に許可状況について確認をしましょう。

 

建設業の許可を確認するならこちら「国土交通省 建設業・宅建業者等企業情報検索システム」

 

ご担当者様
合併がかなり先に予定されていても、前述したとおり、建設業の場合事前に行わなければならないことが多い為です。
合併の計画段階であれば、許可の状況によって計画に事案の一部に含めることも必要かと考えます。
その為、上長から合併の話があった場合、速やかに専門家に相談することをお勧めします。

 

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